年中行事を語る
2月15日 涅槃会
お釈迦さまが亡くなられたのは、2月の15日といわれています。
その日を涅槃会(ねはんえ)として、お釈迦さまの徳を偲び法要をします。
この涅槃というのは、音写といって、当時のインドの言葉を音に引きあてて作ったものですから、この涅槃の漢字自体には意味はありません。
この涅槃のもともとの意味は煩悩を吹き消した状態を表します。 煩悩とは悪い心のことで、貪欲(どんよく)瞋恚(しんに)愚痴(ぐち)が代表的な煩悩といわれています。
煩悩自体は、私たちをこの世で生かしていく大切なものですが、それが自らの幸せを失わせ、また他の人を傷つけるものになりやすいので、 よく注意することがいわれるのです。
涅槃とはこの意味で、上手に煩悩を使いこなし、常に心が平和な境地でいられることを意味するといっていいでしょう。
またこの涅槃には、二つの考え方があって、まずひとつ目はこの世で煩悩を吹き消して平安なる境地を得るという涅槃があります。
もうひとつは、実際に亡くなってあの世の平安なる世界へ帰るという涅槃です。
もちろんお釈迦さまはこの世で生きながらに涅槃に入られ、その境地を弟子たちも得よと教えを説かれたわけです。
重要なのはここのところで、この世で涅槃の境地をえることにあります。
そのためにお釈迦さまが説かれた教えを礎にして、よく煩悩に気をつけ翻弄されずに、 自らの向上と他の人への慈しみを大切にしながら、生きていくことを誓うのがこの涅槃会の意義でもあるのです。