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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(85)

釈尊の願い

初対面の青年を
三十人も出家に導いた仏陀
青年をひと時の説法で
回心(えしん)させたその力は
仏陀自身の徳の光が
ずば抜けて優れていたのであろう

そして出家した者たちは
自己の探求をさらに深く求め
最高の理想に到達するために修行を続けるのである
しかし出家して悟りを求めることのみを
仏陀は目指したのではない
出家したものは
一般社会の人びとである在家者の
心を救済する仕事が課せられていた

出家者は深い悟りを得ると同時に
仏陀の教えを在家者に説き
心の救済をするのである
医者が自らの腕を磨き
その知識と技術力で患者を救うのに似ている

出家者は自らの悟りの力を磨き
教えという薬を分け与える
これを教えの施しといって法施(ほうせ)という
これが出家者の唯一のつとめであった
そして在家者は
それに対し出家者に日々の衣食を施し
彼らの経済的生活を守るのである
これを財の施しといって財施(ざいせ)という

このように
出家者と在家者の相互の助け合いで
社会の幸せを造りあげようとした

仏陀の教えの力で
一般の人びとの幸せと平和を築き
この世を発展向上させて仏国土を建設する
これが仏陀の願いである
その願いが灯火のように何千年と消えず
世界に広まっていったのが仏教なのである