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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(102)

イラスト・山中一正

ラーシャへの説法

マガダの東にあるアンガという国の人で
ラーシャという名の村長がいた

村長は仏陀に帰依するさい
日ごろから疑問に思っていたことを質問した

質問の答えが
彼にとって納得のいくものであったので
在家信者となった

ラーシャばかりでなく
多くの村長たちが仏陀に帰依している
今でいえば町長や市長クラスの人が
新興宗教に入信したことになろう

ラーシャの質問はこうであった

仏陀が難行苦行は
無益のことであると言っておられるのは
ほんとうのことですか

難行苦行は真理を究めるには大切なことではないですか

仏陀は言う

難行苦行は無益であるのは確かなことだ

楽しく遊び暮らして欲を満たす生活からも
この身を苦しめて生きる行いからも
真理を究め人生の理想を発見することはできない

二つの両極端を離れ
中なる道すなわち八正道を実践するなかに
理想に至る道がある

在家者にとっては楽しさを得て幸せに暮ら方法は
暴力を用いず正当に働いて財を得

その財によって自分の生活を
充実したものにするばかりでなく
その財を他の貧しい人に分け与えて善を積み

さらには財に執着することなく
その財の多寡に心乱れることなく

しかも罪をつくることがない

ラーシャはこれを聞いて
仏陀の人格を見極め信者となった

これもラーシャに真理を見極める力があったといえる