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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(104)

イラスト・山中一正

弾琴のたとえ―だんきんのたとえ―

もう少し
仏陀に帰依していった人びとのことを
語ろうと思う

ソーナという富豪の家に生まれた子がいた
家の中でとても大事に育てられ
地上におりたことがないほどであったので
足の裏は柔らかく毛が生えていたという

そんなソーナが仏陀の説法を聞いて感動し
出家をしたいと仏陀に請うた
出家を許されたソーナはラージャガハの郊外で
激しい禅定(ぜんじょう・坐禅のこと)の修行に入った
禅定に疲れては
経行(きんひん・心を休めるために歩くこと)をした

修行があまりゆきすぎて
経行のときには柔らかい足ゆえに

足の皮がむけ あたりに血が飛び散った
それでも修行を続けたが
なかなか悟りを開くことができなかった
内心これ以上修行をしても
無駄ではないかと思い始めていた

その心の内を察した仏陀はソーナに教えた

あなたはかつて琴を弾いていたであろう
琴の弦は強く張りすぎるとよい音はでない
逆に弦をゆるく張れば
これもまたよい音はでないであろう
修行も同じなのです
焦りすぎて修行が激しすぎることもいけないし
そうかといってなまけ怠ってもいけません
ちょうどよい状態に弦を張るとよい音色がでるように
修行にも工夫がいるのです

それを聞いたソーナは
焦らずまた怠ることなく修行を続け
やがて悟りに達することができた