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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(111)

イラスト・山中一正

天女と悟り

仏陀を迎えた釈迦国の人びとは
仏陀と仏陀の説く教えに感銘し
多くの人が出家したという
仏陀の異母弟にあたるナンダもその一人であった

ナンダが20才に達したときに
皇太子の位に立ち後継者となった
太子として立つ式のときに
国内で最も美しいスンダーリという女性と
結婚の式を合わせて挙げることになった

そんなナンダを仏陀は
いやおうなしに頭を剃らせ出家させたしまった
ナンダは
出家したといっても信仰心があるのでもなく
心に不満が満ちていた
あたりまえであろう 国内で一番美しい女性との
結婚も果たされなかったからだ

そこで仏陀は神通力を使い
彼をヒマラヤ山に連れて行き
火に焼け怪我をしていた一匹のめす猿に合わせた
このめす猿とスンダーリとどちらが美しいかと問う仏陀に
もちろんスンダーリですとナンダは答えた

すると仏陀は
霊的世界である天の国へ連れていった
そこには美しい天女が五百人いてほほえんでいる
仏陀はあの天女とスンダーリとどちらが美しいかと問う
ナンダは天女の美しさはスンダーリとは比較になりません
スンダーリとめす猿と比較にならないようなものです

真面目に修行に励むのならば
あの天女をお前に得させてあげよう
承諾したナンダはそれから一生けん命修行したという

そして阿羅漢(あらかん)という悟りを得たとき
天女を得るという仏陀との約束を
無かったことにしてほしいと願いでた

修行によって本来の使命を知り
また悟りの美しさとその喜びを得たのであろう