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お釈迦様の生涯

デーヴダッタの反逆(その1)

イラスト・山中一正

デーヴダッタは
十大弟子の一人アーナンダの兄弟にあたる
仏陀よりも三十才ほど若く
仏陀の晩年に 仏陀に反逆し地獄に堕ちた

仏陀は法なる教えをより所として心を磨き
悟りを求めることを説いた
そして その証しとして神通力が得られたのだ
神通力を得るための修行ではなかった

デーヴダッタは心を磨くことを怠り
真理に目覚める以前に
神通力を求めてそれを得たようだ

人は心の養いを捨て
奇妙奇天烈な力を得ると 悪魔に心を奪われ
正しい判断ができなくなる
デーヴダッタは恐らく悪魔に取りつかれ
仏陀を危(あや)めようとしたのだろう

それは悪魔の仕業でもあり
悪魔のような心を持った
デーヴダッタ自身の責任でもあろう

ある時 あろうことか
デーヴダッタは仏陀に向かって引退を迫ったのだ

仏陀よ
あなたはもうすでに老齢の身 隠居をなさって
残された日々を楽しく過ごしてはてはどうでしょう
比丘教団を私に任せていただければ
この教団をさらに大きく発展させましょう

仏陀は厳しくいさめた
デーヴダッタよ
心を磨き悟りを得ようという真摯な思いもなく
神通力ばかりを良しとし
人のつばきを食べて私腹を肥やすような愚か者に
どうしてこの教団を任せようか

大衆の面前で恥をかかされたと思ったデーヴダッタは
さらに深く
仏陀に恨みを抱くようになった