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お釈迦様の生涯

政治的見解

イラスト・山中一正

これから仏陀は最後の遊行の旅に出る
仏陀のその足跡が「大般涅槃経」(だいはつねはんきょう)
に記されている

仏陀がマガダ国のラージャガハにいたとき
国王アジャセが仏陀に帰依して後
大臣のワッサカーラを仏陀に使わし
ワッジー国を滅ぼし征服しようと思うが
どうであろうかを相談にいかせた

そのとき国王アジャセは
如来なる完全な人は虚言を語らないから
よくその答えを覚えておけと命じた

ワッサカーラは仏陀のもとへ行き
国王の相談の内容を尋ねた
仏陀は弟子のアーナンダとそのことで問答し
ワッジー国を攻め落とすことができるか否かを説いた
これは仏陀は政治的な助言もできたということだ

これを世間解(せけんげ)という
その内容は7つあったが
ワッジー国はいづれもみな当てはまり
仏陀はワッジー国に衰亡のないことを示した

1、よく会議を開いて その会議に多くの人が集っている
2、常に共同して事に当たっている
3、定められていることを守っている
4、老人を敬い 尊び 崇(あがめ)ている
5、婦女や子どもらを大切にしている
6、神や祖先を敬い尊び 供物をささげている
7、宗教者を保護し供養を怠らないでいる

この7つのことはかつてワッジー国の人びとに
仏陀が説いたことであり
それを今も守り尊んでいるゆえに衰亡しないのだ
これを聞いた大臣のワッサカーラは
今はワッジー国を攻撃しても
成功する望みはないと悟り帰っていた

やがてワッジー国はこの7つのことを守らなくなり
マガダ国に滅ぼされることになる