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お釈迦様の生涯

法の鏡

イラスト・山中一正

コーティ村からナーデイカ村におもむいたとき
弟子のアーナンダが仏陀に尋ねた

尊い方よ
サハールという修行僧が
ナーディカ村で亡くなりました
彼は死んでどこへいったのでしょう
ナンダーという尼僧が亡くなりました
彼女は死んでどこへいったのでしょう

アーナンダはそう言って何人かの人をあげ
その人が死んでどこへ行ったのかを問うた

仏陀は言う
サハールは現世において汚れのない心を得たので
死後 汚れのない世界へ生まれた
ナンダーは煩悩を滅し尽くしたので
涅槃の世界へ昇っていった

人が死ぬというのは不思議なことではない
しかしその都度
彼は死んでどこへ行き
彼女は死んでどこの世界へ生まれたのかと
たびたび聞かれては煩わしいことである

そこで法の鏡を説くことにしよう
この法の鏡に照らして人生を省みれば
人は死んでどの世界へ行ったのかが分かるのだ

まず仏陀に対して清らかな信仰を持っていたか
次に仏陀の説いた法に対して
清らかな信仰を持っていたか
さらに仏陀を信じ仏陀の法を信じて
正しく生きている人びとを尊敬し敬っていたか
そして自らが戒めを持ち
その戒めに従って正しく生きていたか

これらの事ごとをしっかり保持して生活していれば
みな死んで後 善き世界へ生まれるであろう
もしそうでないならば地獄に堕ちて苦しむことになる
この法の鏡に照らして
人の死後の行き先を判断することができよう