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お釈迦様の生涯

臨終のことば

イラスト・山中一正

仏陀がボーガからバーヴァーという所に赴いたとき
鍛冶工(かじこう)のチュンダに教えを説き
チュンダから食事の接待を受けた
チュンダはきのこ料理などの
たくさんの料理を作り仏陀をもてなした

仏陀は食事の中のきのこ料理を食べ
激しい苦痛が生じた
しかし気を落ちつけてその痛みに悩まされることなく
苦痛に耐え忍んでいた
このことがチュンダの
後悔の念を深くさせたいため仏陀は語った

チュンダよ 私は最後の供養の食事をいただいて
亡くなっていくのだから
あなたには大いに利益があり功徳があるのです
天に生まれる徳を積んだのです
それほど与える者の功徳は大きいのです

仏陀は少し病の回復を見て歩みを進め
クシナーラーに至った
そこで沙羅双樹の下に床を敷かせてから
頭を北に向け 右わきを下にして両足をかさね
静かに横たわった
そのとき沙羅双樹の花が咲く時期ではないのに
仏陀を供養するために白い花を咲かせた

そして最後のことばを弟子たちに語った
私は亡くなっていくが亡くなっても
もはやわれわれの師はおられないのだと
思ってはならない
あなたがたのために説いた教えと私が定めた戒律が
私の死後あなたがたの師となるのです
さあ 修行者たちよ
もろもろの事象は過ぎ去っていきます
怠ることなく修行を完成させないさい

そのとき虚空に安座する菩薩たちや
まわりに集う弟子や仏陀を慕う人びと
そして花や動物たちが
またいつ 仏陀再誕の日に巡りあえるだろうかと
その別れの悲しみに 涙を止めどなく流した