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仏事の心構え(166)

仏像の見方について まとめ

この「仏事の心構え」は今回で、163回になります。
約14年ほど続いてきました。

今回が最後で、「仏像の見方」のまとめをしておきたいと思います。

仏像の見方については、45回ほどのお話でしたが、
いまだに観音様と地蔵様の違いが分からない人もいます。

以前ここでも書きましたが、
あるおばあさんがお地蔵様の前で「なんまんだぶ」とお祈りをしていました。
「なんまんだぶ」とは、阿弥陀様のことです。

お地蔵様と阿弥陀様はまったく違うのですが、
どの仏様にも「なんまんだぶ」とお唱えしても、仏様のことですから、
お怒りにはならず、きっとほほえんで聞いてくださっていると思います。

しかし、仏様にも役割があって、
それぞれのお立場で、人を救う仕事をしているわけです。
上から如来様、菩薩様、明王様、天部の仏様がおられます。

私の好きな仏様は、奈良の東大寺の横にある戒壇院に安置されている広目天です。
天部の仏様で如来を守る仕事をしています。
広目天は右に筆を持ち、左に経巻のような巻物を持っています。

大学時代、安藤という教授の研究室に、広目天の写真集があって、
それを興味深く見て、「これいいですね」と言うと、先生が
「杉田、そんなに興味があるのか。じゃあ、あげるから大切にしなさい」と言われ、
くださいました。

今も経蔵にあって、時々見ては、こんな仕事をしてみたいと、思い返しています。
この筆と巻物が、私の仕事として「法愛」になっているのです。
そして、この「法愛」で仏を守る仕事をしています。

私が天部の存在とはいいませんが、広目天を師と考え、
その仏に少しでも近づけるよう、微力ではありますが努力を続けています。

お読みのみなさんも、お好きな仏様があれば、その仏様をお慕いし、
その仏様を助けてあげられる、そんな生き方ができたら、
素晴らしいことだと思います。

来月から、新しい企画として「しきたり雑考」を書いていきます。