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法華経の詩

『法華経』について

来月から『法華経』(ほけきょう)というお経を
「法華経の詩(うた)」と題して、詩的にまとめていきたいと思います。

簡単ですが、今月は、少しご説明を致します。

この『法華経』ですぐ思い起こされるのが、日蓮です。
「南無妙法連華経」とお唱えし、『法華経』を広められました。

日蓮は鎌倉時代の中期の人です。
そんなころ日本ではこの『法華経』が広まったと、
漠然的に学生の頃思っていたのですが、
調べてみると、もっと早い時期に、この『法華経』は日本に伝わってきています。

聖徳太子がこの『法華経』を解説した
『法華義疏』(ほっけぎしょ)なるものを残しています。

聖徳太子は飛鳥時代の人です。
その時代は6世紀ころなので、日蓮が13世紀の人ですから、
700年も前に、日本で有名なお経になっていたことになります。

このお経は「諸経の王」とも呼ばれていて、
たくさんのお経の中でも最も大切なお経であるとされています。
このお経が編(あ)まれたのは、1〜2世紀のようで、北西インドで作られたようです。

漢訳としては現在3種類があり、
その中でも有名なのが鳩摩羅十(くまらじゅう)という人が訳したものです。
4世紀ごろの人です。

このお経を有名にした人が中国の天台智(てんだいちぎ)というお坊さんで、
その教えが引き継がれて、日本で天台宗ができます。

比叡山に天台宗を開いた最澄は、この『法華経』に基づいています。
当時多くのお坊さんが、比叡山で学んでいますので、
思想の根底には、みなこの『法華経』の教えが流れているといえます。

『法華経』は、サンスクリット語で「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」といいます。
サッダルマは「妙法」で、正しい教えという意味です。
プンダリーカは「白蓮華」(びゃくれんげ)です。
白い蓮の花は最高に価値ある花とされていました。
スートラは「経典」です。

このお経は28章に分かれていて、
前半の14章までを迹門(しゃくもん)、後半は本門(ほんもん)と呼ばれています。
この本門のところで、釈尊が「久遠の仏陀」として説かれています。

仏(私たちも)は生まれて80年で死す。
そんな儚い命でなく、永遠の命を持っているのが、真実の仏の姿であることを説いているのです。

この部分が『法華経』を、諸経の王にしている所以であると思われます。
来月から詩で、このお経を表現していきたいと思います。