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法華経の詩

法華経の詩(22)

方便品 第二(10)

仏は法華経を説くまでの
真なる意味を語った

舎利弗(しゃりほつ)よ
当に知らなくてはならない
私は仏眼(ぶつげん)をもって観た
六種の運命に翻弄される人びとを・・・
すなわち 迷える運命に閉じ込められた世界
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天である

福徳なくして 心貧しく
喉(のど)が乾くように 欲望にとらわれ
真理を知ることもなく 無明で
真理を説く 仏を求めず
教えを尋ね求めない

苦悩を背負い
苦悩の後を 追い続けている
私はそんなありさまを見て
大悲心なる 心から憐れみを思ったのだ

そして悟りの壇上に三七日(みなのか二十一日の間)
留まり 静かに考えた
私が悟りえた智慧は 不可思議で高度である
いかにこの教えを迷える人びとに弘(ひろ)げよう

そのとき 梵天と帝釈天 四天王と大自在天
幾千万億の天神らが合掌して礼拝し
「教えを説け」と要請した
それを聞いて 私は何も語らないほうがよい
安らかな平安な涅槃に入りたいと思ったが
私は何をすべきかを考えた

「人は仏となることができる」と説いても
おそらく誰も信じてないであろう
そうであるならば
仏の悟りを方便として 三通りに説明し 
教えを弘(ひろ)めよう
そう 私が考えたとき
十方の仏たちが「それはよい」と声をあげた