ホーム > 法愛 4月号 > 法華経の詩

法華経の詩

法華経の詩(39)

信解品 第四(5)

尊なる仏に
仏弟子たちは続けて語った

仏よ
かの長者はやがて老衰し
自分の死が近づいてきたのを知ります
そこで
彼は貧乏な男に こう伝えるのです

こちらへおいで
私には莫大な金銀財宝や穀物
貯蔵品にあふれた倉庫がある
今 私は重病なのだ
そこでこの財宝を譲る人を探している
おまえにこの財宝をすべて受け取ってほしい
なぜなら おまえにも
私のように財産の所有者になってほしいのだ
だが
浪費しないようにしていおくれ
こうして貧乏な男は
長者の莫大な財産を譲りうけるのです

しかし貧乏な男は
少しのお金も取り出さないで
以前と同じように
藁(わら)ぶきの小屋に住み続け
卑しい心をも捨てることができません

そこで長者は 貧乏な男を呼び寄せ
大勢の親族に紹介し 王や大臣 町の人に宣言します

みなさん聞いてください
この男は 実は私の本当の息子で
私はこの子の父親なのです
五十年ほど前に 彼はどこかに姿を消し
ずっと我が子を探し続けていたのです
ですから 私の財産はすべてこの子に譲ります

かの貧乏な男はこの言葉を聞いて
大いに喜び思ったのです
財宝を願うことがなかったのに
莫大な財宝を得ることができた と