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みにミニ法話

(92)出会い

出会いの大切さは、誰しもが認めることでありましょう。しかし、この出会いを、毎日実感しながら暮らしていくこは、また難しいものです。つい忘れがちになるからです。

一般に出会いというのは、まだ一度もあったことのない人に、たまたまどこかで出会って、その人からいろいろな話を聞いたり、体験などして、よかった、学びがあったとか、逆によくなかった、悪かったというのがごく一般にとらえられる出会いです。
しかし出会いをこのように限定してしまうと、出会いが小さなものになってしまいます。

私達の毎日は、大概の人は無名ですから、町に出ても人に干渉されず、買い物をしたり喫茶店でコーヒーを飲むことができます。ハンカチ王子のように有名になれば、
町に出るにもさぞかし大変でしょう。

相手に何の干渉も受けずに町を静かに歩けるというのはありがたいことです。そんな多くの人たちが平凡人として生き、町を歩いています。考えればそこに、無限の出会いがあるということです。

通り過ぎて行く人びとの様子をみて、自らの姿を知る。通りすぎていく人の服装を見て、自分の服装を省みる。知らずに出会っている人たちに、多くのことを学び生きているのが私たちのあり方なのです。ロビンソンクルーソーのように無人島で自給自足の生活をしていれば、自分の姿かたちには関心がなくなるでしょう。

またこの出会いを今日一日のもとの考えてみるのです。
そうすると朝起きれば、すべてが新鮮な出会いです。

夫(妻)との出会い、子どもとの出会い、おじいちゃんやおばあちゃんとの出会い。
鳥や花、風や雲との出会い。すべてが初めての出会いです。そう考えてみると、この出会いを大切にせずにはいられなくなるものです。

出会いの中から、相手のいることを深く感じ取り、一人でないというありがたさを悟ってみることです。