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みにミニ法話

(124)「般若心経の意味」

私がまだ若かった頃ですが、和歌山の方へお話に出かけたことがありました。
お話がすんである方から質問を受けたのです。

「般若心経をよく読むのですが、いったいみなさんはその意味が分かって読んでいるのですか。分からず読んでも功徳があるのですか」と。

般若心経は「人がこの世を生きていくための知恵」を説いているのですが、
そのときはこう答えたのです。

般若心経は難しいお経なので、簡単にはその意味は分からないと思います。
でも次の2点を注意して読んでいただければ、と思います。

まず一点目です。
柔道や剣道、あるいは書道でも、みな基本から入っていきます。
基本がちゃんと出来ていろいろな技を教わったり、字でもしだいに難しい字を習っていきます。

それと同じように、般若心経の基本は、姿勢を正し、経本を目の高さまで慎んで持ち、大きな声で読むことから始めます。 読む心構えとしては、般若心経の一つひとつの字を、それが仏様であると感じて読むことです。

「般」という仏様、「若」という仏様というように、口元から、そんな仏様が出てくるような思いで読むのです。

そうすると最後を読み終えると、270以上の仏様が自分の口元から出てきたことになります。 それは多くの仏様と私が一緒になったことを意味しています。そんな思いが安らぎを与えてくれるのです。

2点目は、各人の心の深まり、悟りの深さによって、そのお経のとらえ方も違ってきます。

たとえば般若心経を読むと心が落ち着くと思う人は、般若心経は心を落ち着ける力があると理解していいでしょうし、 般若心経を読むと、とても有り難くなると言う人は、般若心経が感謝の思いを抱かせてくれる意味があると思えばいいでしょう。

このお経を読むことで、自分の迷いや悩みことが無くなると思う人は、迷いを取り去ってくれるお経であると思えばいいでしょう。

そんな心の深まりによって、さらに真なる意味を発見していくのです。

こんな意味のお答を致しました。

さらに深く言えば、般若心経は「永遠の命の世界を説いているお経である」というのを、知識として持っていただければと思います。