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みにミニ法話

(162)「感謝の力」

感謝というのは
「さまざまな事を有り難く思い、得られたことに、ありがとうとお礼をいう」
という意味です。

有り難いといういのは、有る事が難しいと書きますから、
難(むずか)しいことができたので、幸せであるという意味になるわけです。

ですから、「こんなことは当然だ」とか、
「あたりまえだ」と思っているうちは、決して感謝の思いや言葉はでてきません。

たとえば、水道の蛇口を開けば、水が出てきます。
普段それがあたりまえのことで、難しいことではないと思っているので、
水が出ることに、あまり「ありがとう」とはいいません。

健康な人は、歩いたり走ったり運動したりすることがあたりまえのことである
と思っているので、自分の健康な身体に、あえてありがとうとはいいません。

それがたまたま水不足になったり、健康を害したとき、
水が難なく得られることや、健康が維持できていることは、
あたりまえではなく、有る事が難しいのだと改めて感じ、
水や健康が得られている日々のことを思い返し、感謝の思いを強めるわけです。

そして感謝の念が深くなれば深くなるほど、
水がいつでも得られる生活に幸せを思い、健康であることに喜びを感じるのです。

ですから、さまざまなことに感謝の思いを深めていくと、
多くの幸せが得られ、喜びを得ることができるようになります。

「感謝すれば、自らが幸せになっていける」。
これがひとつの感謝の力といえましょう。

感謝すれば感謝するほど、幸せになっていける。
そしてこの思いは、自らの心を満足させるので、
その思いがまわりに広がっていって、他の人への幸せへと通じていきます。

さらに感謝の力は、「自分が与えられる側の人間」になれるということです。
感謝のない人は不平不満が多く、もっと満足したいという思いが強くなって、
自分の欲求をさらに強くしていくものです。

しかし感謝は、自分がこんなに守られているのだから
少しでもお返しがしたいという思いになり、人を思いやる心が強くなっていきます。

「感謝の思いで与えられる人」こそ、有り難き存在といえましょう。