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みにミニ法話

(210)「ほほえみの風」

ほほえみ笑顔は、何よりも尊い宝です。

最近では、笑顔が病気を治すことも言われています。
笑顔には不思議な力があるのかもしれません。

笑顔がでる心の状態は、幸せであることです。
あるいは、心に余裕があったり、包容力のある人は笑顔が多いといえます。

笑顔は温かさであり、春の風のように、多くの力を芽生えさせる力があります。
また笑顔は笑顔を集め、まわりを笑顔の輪にしていきます。
笑顔があれば、悪を止め、悪を蹴散らす力にもなります。

仏様の姿も、多くのお顔がほほえみをたたえています。
悟りの深さは、ほほえみ笑顔と何か関係あるのかもしれません。

56才になられる女性の投書をお読みいたします。
「手術を支えた温かな手に感謝」という題です。
ここでは手のぬくもりですが、手のぬくもりと同じように、
笑顔は相手の人へ、心の温もりを伝えていって、幸せを広げていく力があるのです。

「手術を支えた温かな手に感謝」

一年前、目に大きなけがをし2度手術をした。
再手術はなまじ内容が分かっているだけに怖ろしく、ためらいがあった。

当日準備室で、看護師さんが手術中に何か握る物が欲しいか訊(き)いたので、
そういう物があるのかと思い、お願いした。

そして手術室で、私が握ったのは血の通った人の手だった。
顔を見ることができなかったその人は2時間近くも、
手術の邪魔にならぬように私の手を握り続け、痛みや恐怖で私の心拍数が上がる度に、
もう片方の手で優しくさすってくれた。

自分のつらさを、見ず知らずの人が少しでも肩代わりしてくれている有り難さをかみ締め、
私は持ちこたえることができた。

握ってくれた手の感触を忘れることなく、
その人の行為を無駄にしないためにも頑張らねばと思う。

(中略)

人の手の温かさは何よりも安心感が伝わってくる。
以来ホームにいる義母に会う度にしっかり手を握ってくる。

(朝日新聞 平成20年3月24日)

こんな文章です。

人の手の温もりと、ほほえみ笑顔の温もりはよく似ていて、
相手に安心感を与え、そして相手を幸せにしていきます。