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みにミニ法話

(219)「自己に厳しくあれ」

「自己に厳しくあれ」、という言葉はよく聞かれる言葉です。
それと対句のようになっているのが、「人には優しくあれ」という言葉です。
「自己に厳しく、人には優しくあれ」というのは理想でしょうが、
なかなかできるものではありません。

人の考えや行動を見ていると、自分に甘くなるのがほとんどです。
みんな自分が可愛いので、自分を守ろうとするのは、大切なことですが、
自分に甘くなる思いを少し止めて、相手を見てみるには、
自分に厳しくなければできません。
それが人との和を作る方法でもあります。

常に自己に厳しくあることは難しいことですが、
この言葉を大切に思って暮らしていると、
成功の道を歩んでいることも確かなことです。

誰にも認められないけれど、
自分が正しいと思って努力して歩んできた人には、
何か後光のようなものを感じる時があります。

そんな様子を自然を通して語った言葉が、論語に出てきます。
「歳(とし)寒くして、
 しかる後に松柏(しょうはく)の後凋(こうちょう)を知るなり」

という言葉です。

私も好きな言葉なのですが、この意味は、
「夏のとき、木々が緑であるときには、
 松などの常緑樹は目立たないのですが、
 寒くなって、他の木々の葉が落ちる頃になると、
  はじめてその緑の美しさが分かる」
という意味です。

松などの緑も白い雪をかぶるとさらにその緑の美しさを思います。
普段から目立たなくても自己に厳しく努力を続けていれば、
やがてその努力が報われ、世に出ることがあるのだ、
という真理をこの論語の言葉からくみ取ることができます。

リンゴの落ちるのを見て地球に引力があることを発見したニュートンは、
「常に工夫を怠らず、研究課題をつねに自分の目の前において、
 一時も離すことなく、考え続ける。
 それがやがて閃(ひらめ)きとなって、真理の光を見るのだ。
 それまでは忍耐強く努力をするのだ」

と言っています。
こんな姿があったからこそ、すぐれた結果を出すことができたと思うのです。

人は自己に厳しくあって、
やがて成功という人としての尊さを手にするのだと思います。