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みにミニ法話

(292)「ぬくもりの心」

3月になると信州でもあたたかな春の風が吹くようになりますが、
鶯の声を聴くのはお彼岸ごろになってしまいます。

4月になってから咲く桜でも、雪が降って桜の花が雪化粧するときもあります。

そんな天候が定まらないなかでも、
3月になると土手に咲く小さな花を見つけることができます。

白や紫の小さな花は、そこに花の妖精がほほえんでいるように見えます。
この花たちも、春のぬくもりのある暖かさに目を覚ますのでしょう。

人と人との付き合いにもいえます。
ぬくもりのある接し方をしていると安らぎを覚えますし、
心があたたかくなります。

春のあたたかさは、そんな人と人との接し方を教えているようにも思えます。
笑顔でおはようと挨拶されると気持ちがよくなります。
人を支えてあげて「ありがとう」とほほえみをもって言われると、
こちらの心もあたたかくなります。

ぬくもりの心は春のように、
相手に、それがどんなに小さくても幸せの花を咲かせるのでしょう。

こんな投書を見つけました。78才になる女性の方の投書です。

昨年12月、夫を病気で亡くしました。
自宅の前は小中学校の通路になっており、幼稚園のバスも近くに止まります。
下校時、夫は子どもたちによく声を掛け、
子どもたちも夫のことを慕ってくれていました。

先日、幼稚園児の女の子が、夫に宛てた手紙を持って、
その子の母親と線香をあげに来てくれました。

「いつもほめてくれてありがとう トイレかしてくれてありがとう 
 大せんせいってゆってくれてありがとう
 いつも声をかけてくれてありがとう だいすき」
と書いてありました。涙があふれ出ました。

手紙を仏前に供えながら、夫は多くの人に支えられ生きてきたんだ、
そして、私も多くの人に支えられて、
これからも生きていくんだとの思いをかみしめました。

(読売新聞 平成29年2月6日付)

こんな投書です。

この人の夫が、子どもたちにぬくもりの心を分けあたえてあげたゆえに、
ある少女から、とてもぬくもりのある手紙をいただけました。
春のぬくもりがこの投書から感じられます。

私たちも、こんなぬくもりの思いを吹かせていきましょう。