しきたり雑考(11)
節分
今月は「節分」のお話を致します。
節分とは季節を分けるという意味があります。
季節を分けるのは、立春・立夏・立秋・立冬の4つがあります。
それぞれの前日の日を節分というのです。
特に立春を新年と見立て、そうすると、立春の前日が大晦日になりますから、
この立春の前日を節分といようになったのです。
新しい年を迎えるために、今まで一年のけがれを祓い清めなくてはなりません。
それで、豆をまいて、邪を祓い、けがれをとって内外を清浄にしたのです。
昔は豆だけでなく、
五穀(稲・麦・粟(あわ)・稗(ひえ)・豆)をまいたといいます。
五穀には生命力があり、魔除けの魔力を持つと信じられていたからです。
この豆をまくことになったのは、言霊(ことだま)として、
豆の「ま」としての魔(ま)と、滅(め)するの「め」から、
「魔を滅する」という意味を引き出したようです。
豆を炒(い)るのは、豆を外にまくと、芽がでてしまうためとか。
最近では邪を代表する鬼に、熱い豆を投げかけて追い払うという意味もあります。
外にまいた豆は、後で白い紙に包んで塩をかけ、清めてから捨てるようです。
豆は、家の奥座敷から「鬼は外」と言いながらまき、
窓や玄関の外に鬼を追い出し、戸を勢いよくしめます。
これは、大きな音は魔除けになるという信仰からきています。
豆まきはその家の主人や年男がまいていたようですが、
今では家族全員でするようです。
邪鬼を払う豆は、あらかじめ神棚にお供えします。
神の魔を破(は)す力をいただくのです。そして節分の夜にまきます。
鬼は夜やってくるという習わしがあるからです。
豆まきが終わると、豆は福豆と言われ、
自分の年より一つ多く(あるいは年の数だけ)食べます。
一般に「鬼は外、福は内」というのですが、
地域によっては「鬼は外」と言わないで「福は内」のみ言うところもあります。
あるいは「福は内、鬼は内」というところもあります。
それぞれの鬼という邪鬼のとらえ方が違うようです。
どちらにしろ、みんなが幸せを願っての行事だといえます。