しきたり雑考(17)
敬老・長寿
今月は「敬老・長寿」についてお話を致します。
9月は敬老の日が設定されていて、
長年社会に尽くしきた老人を敬い、労をねぎらう日です。
昔、子どもとお年寄りは神様に近いとされ、特に大切に思われていました。
この世に神の国から生まれてきた赤ちゃんを尊び、
亡くなっていく老人は神の国へ帰るところから敬いの思いが出て来たという説からです。
姥捨(うばすて)山という日本昔話がありますが、
すでにこの物語が出てきたのは平安時代です。
老人を山に捨てにいって、
どうしても捨てられなくて家にかくまっていた息子が、
その国の殿さまの難題に、お年寄りの知恵を借りて、
次々に解いていくという物語です。
お年寄りは知恵者なので、尊敬されてきたわけです。
江戸時代でも江戸幕府の閣僚は「老中」といいました。
大奥を取り締まる最高位の女性は「老女」もしくは「御年寄」と言われたようです。
この敬老の日は、
昭和22年兵庫県の野間谷村村長が提唱した「としよりの日」から始まったようで、
昭和41年に「敬老の日」と名称が定まったようです。
生まれて暦が一巡した数えで61才を還暦というのは、
よく知られていることです。
70才で古希(こき)。
杜甫の詩の「人生七十古来(こらい)稀なり」から
「古い」と「稀」を取って古稀といいます。
77才で喜寿。
喜は草書体の喜が七十七に見えるところからきています。
80才は傘寿(さんじゅ)。
傘の上の文字八と、四つの人の字を支える十から八十。
81才は半寿(はんじゅ)。
半が八と十と一からなっていると考えます。
88才が米寿。
米が八と十と八になっています。
90才が卒寿。
卒の字の略字は卆で、九と十になります。
99才は白寿(はくじゅ)。
百から一を引いたのが白になります。
120才を大還暦。あるいは上寿(じょうじゅ)といいます。
ちなみに108才は茶寿(ちゃじゅ)です。
この意味は分かりますか。
どなたが考えたのか、日本人はユーモアがあります。
若い人から敬われる、そんな老人になっていくことが問われるところですね。