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しきたり雑考(100)

神かくし

今月は「神かくし」についてお話しします。
{『現代民話考1 河童・天狗・神隠し』 松谷みよ子著 立風書房を参考}

この「神かくし」がしきたりに関係するのかわかりませんが、
雑考なので載せてみます。

子どもが急に行方不明になる話は、よく聞きます。調べてみると、
令和元年に9歳以下の子が行方不明になったのは1253人だそうです。

1991年に4歳の男の子が、
玄関先で40秒目を離したすきにどこかえ行ってしまった例や、
7歳の女の子が友達と寝ていて気づいたら姿を消してしまった
ということもあったようです。

迷子や誘拐、家出などもあるようですが、原因の分からないこともあるのです。

松谷さんの本の中には、こんな実話も載っています。

大正12年7月のこと。今の青梅(おうめ)市で
男性たちが朝草刈りに御岳(みたけ)という山に入ったそうです。
そこで5〜6歳ぐらいの女の子が泣いているのに出会いました。

なぜここにいるのかの理由もわからず、
とりあえず、近くの日向和田駅(ひなたわだえき)に連れていって、
そこの駅長に預けました。

駅長は当時の鉄道電話で調べてみると、その子は岩手の山村の子で、
前の日まで鬼ごっこをしていたのですが、行方不明になって、
みんなで神かくしにあった言って、探していることが分かったのです。

そこで駅長はその子におにぎりを持たせ、
大きな名札を首からさげて送り返したといいます。

青梅は東京都で、
上野のほうから誤って電車に乗ってここまで来たというのなら理解できるのですが、
岩手の山村の子が次の朝、こんな遠くの青梅の山にいたというのは、
何かえたいのしれないモノにさらわれてきたのではないかと、
みんなで何とも不思議なことがあるものだと、語りあったといいます。

あるいは、群馬県のあるところで、
かくれんぼをしていた女の子がいなくなり、みんなで探していると、
畑の中に建っているお堂の下で泥だらけになって泣いていたといいます。
そのお堂の床下はふさがれていて、もぐりこむことはできないのに、
どうやってもぐり込んで出てきたのか。えたいのしれないモノの仕業か。

世には不思議なことがたくさんあります。

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