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扉の詩

(304)「母の涙」

お母さんは
脳死の状態です
そう医師に
言われた

病弱の父にかわりに
私を大学まで
出してくれた母

なんとか
鼓動を保っている
母を見たとき
出て来た言葉は

お母ちゃん
ありがとうだった

脳死の母を
介護した二十四日間
毎日
ありがとうと
何十回と言い続け

温もりのある
母の顔に
ほおずりをして泣いた

脳死になって
二十四日の朝の日
仕事に行く前
母に 最後の
ほおずりをすると
母の目に
涙がにじんでいた

(平成16年5月8日付 産経新聞「病床の母に言い続けた言葉」
 45才の男性の投書を詩にする。)