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法華経の詩

法華経の詩(3)

序品 第一(3)

天から花びらを受けながら
仏は坐を組み深い瞑想に入った
やがて仏は白毫(びゃくごう)と言われる
眉間(みけん)にある白い巻き毛から 光を放ち
神通力を使って 不思議な世界を頭上に映し出した

決して弟子たちには見えない
この世とは全く次元の違った
霊的世界の真実を そこに現わしたのだ

その世界は 悪なるものが堕ちる 阿鼻地獄(あびじごく)
そして 知恵を持ち 善に生き
慈悲深い者たちが住む 阿迦尼天(あかにてん)である

始めに 生死流転(しょうじるてん)する迷える者たちが
それぞれの心境に従って住む六道の世界を現わした
すなわち悪を悪として反省もしない 地獄の世界
欲望をおさえきれず 相手の気持ちを察することなく
人の優しさを奪い取る 餓鬼の世界
人をだまし 平気でうそをつく 畜生の世界
怒り深く人を中傷し 人の不幸を笑う 修羅の世界
善に目覚め 学びを尊び始めた 人間の世界
そして仏への信心を篤(あつ)くする 天上の世界である
これを此土の六瑞(しどのろくずい)という

さらに 遠い世界の仏国土を映し出した
その国土はすべてが調和し悟り深い仏の住む国である
霊鷲山(りょうじゅせん)に集った多くの者たちは
その国で光輝く仏を見
仏が説いている尊い教えを聞き
多くの僧や在家信者が 戒めと禅と知恵を修行して
悟りの道を進むようすを見

また菩薩たちが因果の法則を悟り
仏の教えを信じ学んで 自分のものとし
相貌(そうみょう)なる
思いと言葉と行いが善にして 一つになる姿を見
仏たちが 涅槃(ねはん)に入るのを見
そして仏のお骨を祀(まつ)る塔を見た
これを他土の六瑞(たどのろくずい)という