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法華経の詩

法華経の詩(43)

薬草喩品 第五(2)

世尊なる仏は
長老である魔訶迦葉(まかかしょう)
並びに偉大な弟子たちに告げた

魔訶迦葉よ
ひとつの譬えを語ろう
この譬えは後世
「三草二木の譬喩」(さんそうにもくのたのえ)
として伝えられていくであろう

この三千大千世界(大宇宙)には
さまざまな色をした
数多くの種類の雑草や木々や薬草が
地上や山や渓谷に生い茂っていて
またさまざまな名を持った植物の群れがある

それらの上に雨雲が立ち上り
三千大千世界をおおい
至る所に等しく雨を降らすとしよう
その場合
この三千大千世界にある雑草や樹木
それは 小さな若くて柔らかい茎や枝
葉や花を持っているもの
中(なか)ほどに成長した 茎や枝や葉や花
大きく成長した 茎や枝や葉や花たちは
すべて大きな雲から降りそそいだ雨から
それぞれの 小中大に成育した
その力に応じて 水を吸い上げるであろう

同じ雲から降りそそがれた 同じ味の水によって
それぞれの種子に応じ
成長して大きくなり太くなって
さらには 花を咲かせ実をみのらせるものある
しかも それぞれに異なった種々の名を持つ

薬草の群落にせよ
いかなる種子から生えた植物の群落にせよ
同じ水の味によって潤(うるお)される

このように 完全な「さとり」に到達した仏は
この世に出現して 教えという法雨(ほおう)で
  すべてを一様に潤すのだ