ホーム > 法愛 3月号 > 法華経の詩

法華経の詩

法華経の詩(61)

化城喩品 第七(3)

世尊なる仏は 弟子たちに
一瞬にして思いだした
大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)が
どのように「さとり」に至ったかを語った

如来は
最高の完全な「さとり」なる
阿耨多羅三藐三菩提心
(あのくたらさんみゃくさんぼだいしん)に
達するために
「さとり」の檀上に坐って
まず 悪魔の軍勢を粉砕し打ち破った

しかし
完全な「さとり」に達することができない
彼は菩提樹の根元に長い間
一度も立ち上がることなく坐った

その姿を見た とう利天(とうりてん)とよばれる
三十三天に住む神々が
神々しい花の雨 天華(てんげ)をまき散らした
その花びらは風に飛び
しぼんだ花を吹き飛ばし
雨のように
彼が偉大な「さとり」に達するまで
降り注ぎ続けた

仏教の守護神である
四天王に属する天子たちは
「さとり」の壇に坐っている
彼を讃えて
天上の太鼓を絶えず打ち鳴らした

そして さらに
彼が完全な「さとり」に至るまで
天上の
多くの楽器を絶えることなく奏でた

そして長い時を経て
彼の如来は
この上ない完全な「さとり」に到達したのだ