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法華経の詩

法華経の詩(70)

化城喩品 第七(12)

大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)
である仏 世尊が
一仏乗(いちぶつじょう)なる
大いなる「さとり」を得るために
神通力で 仮(か)りの 都城を作り
本来の城に至る たとえを語った

ここに広大な密林があって
そこに大勢の人びとが
到達したとしよう

その密林を出て宝の山に行くために
懸命で 学識があり
聡明で 精神力を持ち
この密林から出る難路に通じていて

多くの人びとを案内し
この奥深い密林を通過させる
案内人がいたとしよう
ところが あまりにも密林が深く遠く
大勢の人びとは 途中で疲れ果てて
この密林の不気味さに 怖れおののき
このように案内人に訴えたとする

「案内人よ 
われわれは疲れ果てて 不安なんだ
引き返そうじゃあないか
人跡未踏の密林は
あまりにも遠くまで広がっている」

そのとき
巧妙な手をよく知っている案内人は
人びとが
ここから引き返そうと思っていることを知り
このように考えた

「これは駄目だ 
この憐れな人びとは
このままでは 宝の山に行けないだろう」と

そこで案内人は
巧妙な手段を用いることにしたのだ