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法華経の詩

法華経の詩(78)

五百弟子授記品 第八(5)

仏 世尊から予言(授記・じゅき)を聞き
踊りあがって喜んだ五百人の弟子たちは
仏世尊に告白した

喩(たと)えをあげて言えば 世尊よ
ある男がひとりの友人の家に行き
友人が酔いしれたときに
この上なく価値のある宝玉を
友人の衣の裏に縫い付け去ったとします

友人はそれを知らず
貧乏で食べ物や衣服を得るのにも
困難になってしまったのです
しかし友人は そのことを少しも苦ににせず
貧乏な暮らに甘んじていました

友人の衣に宝玉を縫い込んだ男が
友人とたまたま会い貧乏な男を見て語るに
君はどうして
こんなに貧乏な暮らしをしているのだね
君が酔って寝ている内に 尊い価値を持つ宝玉を
衣の裏に縫いつけておいたのに
もしこのことに気づき それをお金に変えて使えば
何でも思うものが手に入ったのに

この喩(たと)えのように
かつて求道者の修行をされた如来によって
仏の位に至る心を鼓膜(こまく)されたのに
それに気づかず 少しの悟りで満足し
すでに「さとり」の境地に達したと思っていました
小さな智慧に満足し
貧乏な暮らしをしていたのを知りました

仏 世尊は
僧たちよ あなた方の精神力の中に
かつて前世において私が植えた仏の善根があるのだ
あなた方が 今「さとり」と思っているものは
完全は「さとり」ではない
もし 真なる仏の善根を生かしたならば
さらに高度な完全な「さとり」に至るのだ
そのことを予言して 授ける

(了)