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法華経の詩

法華経の詩(89)

見宝塔品 第十一(1)

仏 世尊が
薬王菩薩(やくおうぼさつ)に
語り終えた その時
仏の前に
集まった人びとの中に
七宝(しちほう)の塔が
地より涌(わ)き出て
空中にそそりたった

その塔の高さは
はかりしれないほど高く
その幅も
高さにふさわしいほどである

色とりどりの宝で飾られ
その美しさは
言葉に言い表せないほどである
五千の欄楯(てすり)があり
龕室(へや)は千万
仏をたたえる飾りである
無数の幢幡(どうばん)

同じく仏の悟りをたたえる
真珠などの珠玉(しゅぎょく)を
糸で通して作った
瓔珞(ようらく)が無数に垂れ

小さな鈴や 大きな鈴が垂れて
涼やかな音が奏でられ
さらには
香木の麗しい香りが
放たれている

そして その塔から声が響き渡った

素晴らしいことだ
仏 世尊 聖者よ その通りだ
よくぞ 法華経を語られた

その声を聞いた
そこに集った人びとは 喜び満ちて
みな立ち上がって合掌し 立ち続けた