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法華経の詩

法華経の詩(92)

見宝塔品 第十一(4)

仏 世尊が
多宝如来が「法華経」を聞くために
さまざまな国に
それぞれ異なる名前で
それぞれの国土に現れた分身を一つにし
多宝如来を祀る宝塔の扉を開き
そこに如来の全身を現したい
という誓願を 語って後

今 現前に姿を見せている宝塔に
世尊なる仏は 座を立ち上がって
空中に立った

そして 目の前にある宝塔の中央を
右手の指で開いた

すると 扉は左右に割れ
あたかもそれは 
城門の大きな扉を開くようであった
扉が開くと
かの尊い多宝如来が
獅子座に足を組み瞑想を終えたかのように
坐っているのが見え
そして 多宝如来は語った

素晴らしいことです 世尊よ
「法華経」という教説を よくぞ説かれた
私はこの「法華経」を拝聴するために
ここに来たのです

そのとき そこに集う人びとは
多宝如来はすでに入滅しているのにかかわらず
現前に現れ語る姿を見て
不思議と奇異の念に駆れ
天上界と 娑婆なる人間界の宝玉を散じて
供養した

すると多宝如来が
自らの坐っていた獅子座の半分を譲って
世尊よ ここに坐りたまえ と言い
その言葉に従って
世尊は譲られた半分の座に 共に坐った