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法華経の詩

法華経の詩(115)

安楽行品 第十四(8)

仏 世尊は 文殊に
髻中明珠(けいちゅうみょうしゅ)の
比喩を語った

たとえば
武力によって
覇王になった王者がいて
その武力の力によって
自らの王国を征服した

この王者には たくさんの兵士がいて
敵と戦った
王は戦う兵士たちを見て
その武勇をよろこび 満足した王は
さまざまな恩賞を兵士に与えた

しかし
王の髻(もとどり・髪を頭の頂に束ねは所)の
中の 明珠(ダイヤモンドのような宝)は
授け与えなかった

仏である如来は
まさに教えの支配者であり
教えの 王である
教えによって正しく
三界の すべての世を統治する

凶悪な魔軍(煩悩)が 彼の治める三界を襲う
そこで如来の弟子たちが
悪魔と戦った
そのために 幾百千の教えを説いて
悪魔を打ち倒す 武器とし
「さとり」という教えの 城を築かせた
しかし 王の持つ明珠なる
「法華経」だけは 説かなかった

やがて 非常な勇気をもって魔と闘う
弟子たちを見て 如来は非常に満足し
いまだ語られなかった
最高の教えである「法華経」を説いたのだ