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法話

みんな何かを教えている 5 「自分自身との出会い」

自然との出会い

最後にもう一つとても大事な出会いがあります。それは自分自身との出会いです。 人や出来事あるいは自然などの出会いは分かりやすいのですが、自分自身との出会いというと、毎日私は出会っていると思われることでしょう。 しかし本当の自分と常に出会っていることが大切なのです。本当の自分といいましたが、その反対側に偽(にせ)ものの自分があります。 偽りの自分といってもいいでしょうか。この「法愛」をお読みのみなさんは、どちらの出会いを多く持っているでしょう。

偽ものというと、たとえばここに偽札が百万円あって、それを使って買い物をするとどうでしょう。おそらく捕まって刑務所行きです。 美術館の絵画がみな偽ものであったらどうでしょう。そこには誰も来なくなるでしょう。 愛する人に偽もののダイヤをプレゼントしたらどうでしょう。きっと別れる破目になるでしょう。 本堂に飾る花でも造花であったら、一見きれいにみえるのですが、手を抜いているように見えます。 一年中、生の花や花がないときには青葉を飾り、きれいにしている本堂のほうがお参りしやすいでしょう。

このように偽ものは、相手に不快な思いを抱かせるとともに、法律にそむくような行為に発展していきます。では偽ものの自分とはどんな自分でしょう。あげてみましょう。

不平不満をいう自分。
怒り多い自分。
人を疑い憎しみ恨む自分。
悪口や陰口をいう自分。
やる気のない自分。
相手を信じない自分。
神仏を信じない自分。

本当の自分は、
勤勉な自分。
やさしい自分。
思いやりのある自分。
人の幸せを祝福できる自分。
利他の思いを大切にできる自分。
穏やかな自分。感謝できる自分。
素直で正直な自分。
相手を信頼し、神仏を信じることのできる自分。

この二つの自分を比較してみてください。どちらの自分に多く出会っているでしょう。 偽ものの自分に出会ってばかりいる人は、不幸の道を行く人です。本当の自分との出会いを大切にしている人は、幸せの道を歩んでいる人です。「常に本当の自分に出会おう、そして本当の自分から多くを学び取り、人の幸せのために努力していこう」 そう自らを戒めて生きるところに、すべてのことが学びとして輝きだしてくるのです。