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みにミニ法話

(298)「利他を尊ぶ」

利他とは他を利すると書きます。
相手の幸せのために働くことを尊ぶとなります。

そのためには、自分のことを考えるのを少し置いておいて、
相手の気持ちを理解する心の力を持たなくてはなりません。
そして、その生き方は自分の人格を高めるとともに、
まわりの人にもその生き方が香っていって、尊い思いにさせます。

ごく普通の人は、自分が大事であるので、自分の幸せをまず考えます。
その時に、相手もそう思っていることを察することです。
さらには、心の内にある良心が、相手の幸せのために働くことを、
とても喜びとするのです。

そんな良心を大切にすることが、本当の自分を大切にしていることになり、
真なる喜びをそこに感じることができるのです。

こんな投書を、ある新聞で見つけました。
72歳になる女性の方のもので「宝の1円玉」という題です。

相手のことを大切にし、生きていることが、
まわりの人に爽やかな思いを投げかえてくれることを感じ取っていくことができます。
こんな精神を尊んで生きていくことが、私たちの心の内に潜む良心の願いかもしれません。

宝の1円玉

いつも行っているスーパーでのこと。
会計の時、夫が小銭入れからパラパラとお金を落としてしまい、
慌てて拾って会計を済ませて帰ってきました。

それから数日経ったある日。元気のいいレジ係の女性が寄ってきて、
「先日落としたお金です。レジの下に落ちていました!」と、
紙に包んだ1円玉を差し出しました。

紙を破って1円玉を取りだそうとしたので、私はとっさに止めました。
「汚い字なので」とためらう彼女に頼んで、包んだままいただきました。
こんな大事に包まれた1円玉を見て、
彼女の気持ちを破るのはもったいないと、感じたのです。

広告の裏紙で作ったその小さな袋には、こうメモしてありました。
「5月24日(水) いつも来るお客様の1円です!
 次に来た時に渡すのでおいてて(保管)ください。
(落としていった)!リサ」

彼女はいつも笑顔で声をかけてくれます。
私たち夫婦はこの方に元気をいただくので買い物を楽しみにしています。

1円玉は袋に入ったまま封を切っていません。
大事な大事な私の宝物だからです。
あなたの元気で明るく誠実なお客様への対応に感謝しています。

(朝日新聞 平成29年8月28日付)

この1円玉にレジ係の女性の、相手を思う気持ちが伝わってきます。
そして、この話を聞く私たちも、心があたたくなってきます。