みにミニ法話
(306)「生きる力」
桜が散って初夏の風が吹いてくると、
今まで枯れ木のようだった木々から緑の葉がいっせいに芽吹き始めます。
何もない枯れ木のようだった木から
なぜあんなに活きよいよく葉が芽生え茂るのでしょう。
ただいえることは、「生きるすごい力だ」とうことです。
木にも、緑の葉を茂らせる力があるのですから、
私たちにも、きっとそんな生きる力があるのだと思わずにはいられません。
木々の緑の葉から教えてもらうことは、
葉を茂らせようとする強い思いだと考えられます。
夏の風が吹くころ、葉を茂らせて空気をいっぱいすって、
成長していこう。そんな思いが木々にはあるのでしょう。
人間も同じで、何か事を始めるときに、
必ず達成させようという強い意志を持っていれば、
やがてそれに近づいていくことができます。
茶碗を作る茶碗師で楽家(らくけ)の
現代15代目になる、楽吉左衛門(らくきちざえもん)が、
それが未だ見ず名の知らない人の心を、
わずかに温め幸せな気分をもたらすなら、
この世に存在する確かな意味と資格を持つ
という言葉を残しています。
「この世に存在する確かな意味と資格を持つ」という言葉は、
生きる力をみなぎらせる、そんな考え方です。
そのためには、縁ある人、あるいは縁のない人であっても、
その人たちを幸せな思いにさせていく。そんな生き方を心がけるということです。
歴史に残る仕事をする人はごくわずかですが、歴史に残らなくても、
あるいは2代、3代もすぎれば忘れられてしまう存在であっても、
今生きている時に、他の幸せを思いながら生きる力を使っていけば、
そこに生き抜いた尊い意味があるのだと思います。
あの木々の一つひとつの葉を覚えている人はいません。
それでも一心に葉を茂らせようと生きる力をたたえている葉たちは、
そこに美しい緑色の姿を示し、爽やかな思いを私たちに与えてくれています。
私たち自身も、地球という大木に芽吹く小さな葉であっても、
他のために幸せを思いながら生きる力を使っていくところに、
充実した人生が展開されていくのではないかと思います。
