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ことわざ雑考(5)

老いたる馬は、道を忘れず

今月のことわざは「老いたる馬は、道を忘れず」です。
「ことわざ・名言辞典」(創元社)

このことわざは、年を取った者は経験が豊かで、
何でもよく心得ているという意味です。

このことわざの由来です。

中国の春秋時代に魯(ろ)の国の君主をしていた
桓公(かんこう)に仕えていた管仲(かんちゅう)という政治家がいました。
管仲が桓公に従って竹を切りに行きました。
春に出かけて、冬に帰ろうとすると、道がわからなくなって帰ることができません。
そのとき管仲が、老いた馬はよく物を覚えているから、老いた馬を放せばいい。
そういったので、老いた馬を放し、その後についていくと、帰る道がわかったというのです。

日本でも「うばすて山」という昔話があります。

若い息子が老いた母を山に捨てにいきます。
母は迷わないようにと、木の小枝を折り、帰り道がわかるようにしました。
それを知った若者は、どうしても母を捨てることができなくて、
家でかくまうことにしたのです。

ある日、殿様が隣の国の殿さまから難題を突き付けられます。 そのひとつが「灰で縄を編んでこい」というものでした。
その村のものは、難しくて誰も答えることができません。
そこで若者は母に相談します。
すると母は「固い縄をなって、戸板にのせて焼くといい」といいます。
そこでそのようにすると、灰で縄を編んだようになったのです。

あるいは、3つ目の難題は「たたかない太鼓の鳴る太鼓」でした。
母が言うように、蜂を取ってきて、木の太鼓の胴を作り、蜂を入れて皮をはりました。
その太鼓を少しかまうだけで、中の蜂が騒いで、太鼓が鳴り始めたのです。
それを見て殿様は、老いた母の知恵と知り、年寄りを大事にしたという話です。

年老いて知恵を活かす。
それが老いたる人の尊い姿ですが、今ではスマホで、何でも知ることができます。
2035年には一人暮らしの老人が、770万人にもなるようで、
老いた両親の骨も拾わない家族もあるようす。

うばすて山ならぬ「うばすての世」が来ているような気もします。
互いが慈しむ、そんな世をつくっていかなくてはなりません。

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