ことわざ雑考(9)
形影相憐れむ
今月のことわざは「形影相憐れむ」です。
「ことわざ・名言辞典」(創元社)
自分の形と影とが互いにあわれみ合うばかりで、
ほかに誰も自分の憂いをたずねてくれる人はいない。
そんな孤独でさびしい様子を表したことわざです。
今月のメイン法話の中で、
中学校1年の女生徒が、原発事故で福島から新潟に転校してきて、
そこで「菌」を名前につけられ、いじめにあったことを書きました。
いじめにあった女性徒は、このことわざのように、
とてもさびしい思いをしたことでしょう。そして学校へ行けなくなりました。
最近問題になっているのが、
老いて身寄りのない人が2050年には448万人になると言われています。
詳しくは65歳以上の配偶者と子など3親等の親族がいない場合だそうです。
子や配偶者のいない人を合わせると、1千万人を越えます。
そんな状況で、老人はどう死を受け取り、
自分の死後の後始末をどうのように考えるのでしょう。
最近では葬儀の場合、家族葬や家族がいなくて、
参列者が2〜3人という葬儀もあります。
できれば多くの人が集い、別れを惜しみながらの葬儀が、成仏の力になるのですが、
みな死んだら終わりという考えが多数をしめ、
簡単にことを済ませてしまう葬儀が増えています。
また葬儀もしない直葬も増えていて、
葬儀をしていただけるだけでもありがたいという、
そんな社会になってきています。さびしいことです。
この孤独をいい意味にとれば、孤独の中に、自らを見つめ直し、
神仏に近づく深い境地を得ることができます。
その孤独をお釈迦様は「犀の角のように独り歩め」と語っていて、
心を乱す欲望については、こう説いています。
「実に欲望は色とりどりで甘味であり、心楽しく、種々のかたちで、心を乱す。
欲望の対象にはこの患いのあることを見て、犀の角のようにただ独り歩め」と。
いじめも相手を乱し、それを楽しむ意味で欲望ともとらえることもできます。
心乱れた時は、呼吸をととのえ、独り静かに、自らの心を見つめ直すことが
大事になりましょう。
