ことわざ雑考(18)
月雪花は一度に眺められず
今月は「月雪花は一度に眺められず」についてお話しします。
{『ことわざ・名言辞典』(創元社)を参考}
これは
「一時にすべてのことを求めても、得ることはできない」
という意味です。
月は秋のもので、雪は冬、花は春。
代表的な四季に見られる風景です。
これらを同時に見ることは難しいでしょう。
現代ではビデオとかテレビ、写真もあるので、
同時に見ることもできるかもしれませんが、このことわざのように、
一時にすべてのことを手に入れることはできない
と知っておきましょう。
しかし、手に入れられるものは、みんな手に入れたい。
それが人の欲深き性(さが)かもしれません。
そんな欲望を捨て、足ることを知って、
日々過ごすことが大事になります。
1980年代のバブル景気全盛期の時に
流行語になった「三高」があります。
女性の結婚相手の条件です。
高学歴、高収入、高身長です。
月雪花は一度に見られないように、
この3つを具えている男性はと問えば、
ずいぶん少なくなると思われます。
さらにそこに、優しいとか思いやりがあるとか、
努力家であるとかを加えると、さらに少なくなるかもしれません。
ひとりの男性が見合いをした時、
一度も会わずに断られたことがあったようです。
原因は身長が低いということでした。
こんな詩がありました。
43才の女性で「ちいさい女」という題です。
「ちいさい女」
ある人が言った
背が小さいのは
才能だと
それまで背伸びして
ヒールを履くことしか
考えなかった私は
ふと気付いた
私は決して
人を上から
見下ろしたことがない
背が高かったら
あなたを
見上げることも
なかったのだと
(産経新聞 平成27年4月17日付)
背が低くても、それなりの利点があります。
背が高いゆえに、それが嫌でたまらなかったという女性もいます。
道元禅師の唄に、
春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり
があります。
それぞれの季節にある素晴らしいところを表しています。
私たちも多くを求めず、自分に備わっている素晴らしいところを見つけ、
それをどこまでも伸ばしていけたらと思います。
