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仏事の心構え(147)

仏像の見方について 27 孔雀明王

今月は明王の3回目で、孔雀明王(くじゃくみょうおう)です。

この明王様は私自身、本や図鑑でしか見たことはありません。

和歌山県にある高野山の金剛峰寺にある孔雀明王が有名です。
この像は、快慶(かいけい)の作だそうで、後鳥羽上皇の発願によって、
1200年ころに作られたそうです。

調べてみると、彫刻は少なく、
絵で表現したもののほうが多いようです。

この孔雀明王は、孔雀が付いていますから、
孔雀に乗っている明王様です。

明王といえば、大概、私たちを叱っている顔がほとんどですが、
この仏さまは女性のような柔らかな顔をしています。
ですから、一見、明王とは分からないくらいです。

ただ孔雀に乗っていれば、孔雀明王であると知るので、
その点、分かりやすいかもしれません。

なぜ孔雀が仏様になったかですが、
インドでは昔から毒ヘビのコブラが多くいて、
孔雀がこのコブラを餌(えさ)にしていたようなのです。
ですからコブラの天敵は孔雀なのです。

毒ヘビは煩悩にたとえられていて、
その煩悩の象徴であるコブラを食べてしまうところから、
孔雀は煩悩を食い尽くし、私たちを守ってくれると考えたのです。

そんな考えが広がって、この孔雀が神格化されていったようです。
やがてこの孔雀が仏教に取り入れられ、孔雀明王になったと言われています。
何にも、確かな理由があるのですね。

孔雀明王の姿は、もちろん孔雀に乗っていて、
孔雀の上に蓮華の台があり、その上に、明王様が優しい顔をして坐っています。

お顔は一つで、多くは手を四本持っています。
これを一面四臂(いちめんしひ)といいます。

不動明王の光背は火でしたが、
この孔雀明王は孔雀が羽を広げたような形になっています。よく考えますね。

またこの孔雀は雨季を知らせる鳥というところから、
慈しみの雨を降らせる、そんな信仰もあるようで、
雨乞や除災、延命などの人びとを救うお仕事をされているようです。