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みにミニ法話

(278)「何度でも立ち上がる」

今年1年、さまざまな事があると思います。
幸せのみであればよいのですが、
努力し成し遂げなくてはならない事もたくさんあるでしょう。

そんな中で、失敗から挫折感を味わうこともあるかもしれません。
そんなときに、倒れたままでは先に進めません。

「七転び八起き」の格言のように、
七回倒れても八回立ち上がる志を持って、生き抜くことだと思います。

立ち上がるのは自分自身の力ですが、
いつも力強く立ち上がれといっても難しいときもあります。
そんな時に、自分一人ではないという思いが必要です。

必ず誰かが見守り、支えてくれていることを知ると、
そこからまたエネルギーをいただき立ち上がることができます。

自らの努力と、それを支えてくれる縁ある人に感謝をささげ、
何度も立ち上がって、志を遂げていくことです。

こんな投書がありました。
折れた水仙も、立ち上がって、めげずに咲いている。そんなお話です。
水仙を支えた心優しい人のお話しがダブっています。64才の女性の作品です。

「折れた水仙立てた人」

自宅近くの道路の植え込みに、
ニホンスイセンが可憐な花をたくさん付けている。

その中に、花から数センチほど下のところで折れているものが1本あり、
気になっていた。
しかし、枯れる様子はなく、折れたままでも水を吸いあげているようだ。

ところが昨日通ると、
おれた部分に薄茶色のテープが巻かれ、茎がすっとたっているではないか。

こんなやさしいことをするのは誰だろうと考え、
すぐに思い浮かんだのは向かいに住む奥さんだ。
彼女が自宅の前だけでなく、
隣の家やゴミ回収所の周りをきれいにホウキで掃く姿をよく見かける。
きっとそうに違いない。

夕食でこのスイセンの話を夫にしたところ、なんと
「あ、それ、俺がやったんだよ」と言うではないか。
そういえば例のテープは丁寧に巻いてあり、
手仕事が得意な夫らしいといえば、そうも見える。

修復されたスイセンは今日もめげずに咲いている。
我が街に春が来ている。

(読売新聞 平成27年3月26日付)

折れたスイセンが折れたままで生きようとしている強さと、
折れたちころを治してくれた優しい人の支え。
何度でも立ち上がる精神が、投書から思い起こされます。